優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。
絵が入賞して嬉しかったはずなのに、私の心は上の空というか、どこか違う方に矢印が行っていた。
たった一日だったけど色々なことがあった。喧嘩とか、陣之内くんの胸の内とか、絵を盗まれたとか、色々と。
全然ブスじゃないじゃんと彼は私の顔を覗き込んだ。
その前に、私の絵が好きだと言ってくれていた。
なのに私は、どこが好きなのかとか、お世辞でもブスではないと言ってもらったのに何も返せなかった。
それが箱に入ったまま抱きしめて眠る、ペンタブレットに浸透していく。
勇気も意気地もない私は、彼が居なくなるまで何ができるだろうか。
ペンタブ……か。
上手く使いこなせたら、彼が望む絵を描けるのかな。
難しいけど、でも紗矢の笑顔を守ってくれた彼に私も何かしたくなった。
いなくなる彼のために。
興奮してすっかり眠れなくなった私は、親が寝たのを確認してからパソコンを開いて彼の小説の名前を検索した。