優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。
「でも高校で再会できるかもしれねえし」
「そうだよ。どちらにせよ、高校はバラバラだしね」
紗矢のフォローに入り、彼もまだ納得はしてなさそうだけどその日は落ち着いていた。
他のクラスメイトが驚くほど、落ち着いていて少し奇妙だった。
話しかけたら普通に笑うし、輪の中には当然いるのはいる。
なのに彼はなぜか静かで、ピンと張り詰めたピアノ線のようだった。
*
「優大の様子がおかしい?」
昼休みに紗矢にそう言ってみたが、首を傾げられた。
「あいつはあんなもんよ。昨日がおかしかっただけでしょ」
「そ、うなのかな。でも、なんか、変」
「うーん。あれじゃない。織田に昼休み呼び出し食らってるから怠いんじゃないかな」
そういうと、紗矢は昨日のことなんて忘れたかのように部室へ向かっていく。
私も部室に届いてあるはずのパソコンで、インストールを色々して絵の準備に取り掛かろうと思っていた。
――彼を見つけるまでは。
「やっほ。お邪魔してるよ、蕾」