優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。
ポニーテールにしながら豪快に笑う。

きっと紗矢ちゃんは服装検査に引っかかっても、先生に怒られても、プールの授業受けられないって罰になっても平気なんだと思う。


 対照的に私はきっとどれかひとつでも引っかかったら、萎縮して泣いてしまう。

 怒られるっていうのは、他人に自分を否定されることだし、服装検査に引っかかるってことは皆と違う異質な部分が見えてしまう、だから私は、皆の中に混ざって目立たなくていいから、気づかれなくても良いからひっそりと息をしていたい。

「顔色悪いよ。大丈夫だって。蕾は優秀なんだから先生たちのチェックも甘いって」

 そう言いつつ、せっせと折っていたスカートを戻し膝が隠れる程度の長さに調整している。

紗矢は陸上の長距離走の全国大会三位に入賞している。から、長くて筋肉で引き締まった足を隠してしまうのは勿体ない気がした。

紗矢ちゃんならつまらないルールに縛られなくていいのに。

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