優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。
五、恋愛ルート分岐点




学校の裏にある駄菓子屋は、私が小さなころからずっと歳を取らない謎のおばあさんがひっそりと営んでいる。


 二階の窓から掲げられた看板は、風や雨で色落ちして何と書いているのかわからない。
駄菓子屋の奥に水色のチェックのテーブルシートを敷いた丸いテーブルと、テーブルの上にかき氷機が置いてある。


 小学生は店に入ってすぐの駄菓子屋でお菓子を、部活帰りの高校生は奥でかき氷を食べたり、冬はそのテーブルにテレビが置かれて、ご年配の方たちが野球や相撲を見たりしている。

 私が駄菓子屋の前に来た時には、すでに小学生が駄菓子の前に群がっていた。

「お、来た。蕾、こっち、こっち」
片手をあげて中から手を降っているのは、もちろん陣之内くんだった。

「な、あの、さ、デ」
「ちょっとだけ待ってて。今、更新してんだ」

携帯片手に、ぺろっと舌を出して何かを打ち込んでいる。

それが、彼の携帯小説だと気づいて私は椅子をなるべく離してから座った。
年季が入った木でできた椅子は、ざらざらしていたし、テーブルクロスは色あせてる。
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