優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。


それにテーブルの真ん中にあるかき氷機は、ちょっとじゃまだ。
「あのさあ、なんだっけ、犬が歩く漢字四つ」

「犬が歩く漢字四つ? 四字熟語?」

「そー。犬」

「四字熟語は分からないけど、い、犬も歩けば棒に当たるとかなら」
「それだ」

それだ?
貴方今、四字熟語って言いましたよね?
それ、ことわざです!

なのに、何故か得意げに文字を打ち込んでいた。
一ページ300文字ぐらいを、あっという間に打ち込んでしまった。

「ごめんな。今日も夜は戦うから、帰る前に更新しときたくて」
「そうなんだね。その、デートとか言うから、驚いた、です」
「えーデートじゃん。俺、蕾とずっとデートしたかったんだよ」

 さらりと。
 さらりと携帯小説を打ち込むように、さらりと爆弾発言をした。
 陣之内くんみたいに格好いい人は、紗矢みたいな可愛い子とデートするのは分かる。
 でもどうして私なの?

 どうして私なんかに声をかけてきたの?

「さっき、蕾が色々話してくれたじゃん。蕾が自分のこととか俺のこと話してくれるの、すっげえ嬉しくて、なんか独り占めしたくなった」
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