優大くんの言動はマシュマロみたいに甘くて軽い。
一列に並べられた私たちは手を突き出して、先生の指示に従う。
私のお母さんぐらいの年齢だろうか。いっつも不機嫌そうに口をへの形にしている国語の竹山先生が私たちの爪先から顔までじろじろチェックしていく。
今から出荷される野菜のチェックみたい。少しでも駄目なら出荷されないで捨てられるのかな。
先生がよし、よし、斎藤残れ、よし、よし、と軍隊みたいに美品と失敗作を分けていく。
先生たちの言う美品は、爪は深く切り、化粧をしておらず、ピアスで穴をあけていない、ダサいスカートのまあつまり私みたいな子のことだ。
「……武田」
私の前の紗矢ちゃんの時に、竹山先生の足が止まった。そしてじろじろとスカートと爪を見ている。
「髪は地毛だと親御さんから聞いているけど、……うーん」
「これネイルとか、マニキュアじゃないです。爪が割れやすいから透明ので保護してるだけ。化粧もスカートも弄ってないっすけど」
紗矢ちゃんが自信たっぷりに言うと、先生の目が吊り上がる。