【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
苦手な先生
大きなガラス張りの窓から外を見れば、明けたばかりの冬の空には陽が静かに降り注ぎ、朝の冷たい空気がキラキラと輝いている。

冷たく澄んでいる空気を体いっぱいに吸い込むと、大きく深呼吸をした

これは高梨蘭子(たかなしらんこ)、わたしのいつものお約束。

ここ愛華総合病院は街が一望できる高台に建っていて、そこからの景色は天下一品。いつも決まった位置に立っては景色を眺め、自転車で長い坂を登ってきて疲れた体を休ませていた。振り返れば病院の一階にある診療棟のロビーは、しんと静まりかえっている。

それもそのはず。

ロビーの中心にある柱時計は、まだ七時前。

正面玄関の出入り口は施錠されていて、患者さんの姿はどこにもない。ちらほら見えるのは夜勤の従業員と警備員くらいの、いつもの光景だ。

「おはようございます」

顔見知りの警備員さんと挨拶を交わすと、しばし景色を眺めてからその場所を離れた。

わたしはここの総合受付で働く、ごく普通のOLで、先日二十四歳なったばかり。入社四年目で、今年の四月からは新人の教育係も任されていた。“係”なんて付いているがさほど偉くもないし、めんどうな仕事を押し付けられることも多くて、内心ハズレくじを引かされたと思っていたりする。

けれど、この仕事が嫌いなわけではない。



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