【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
もしかしたら真澄さんと会えるかも──
寝ている真澄さんを起こすのが忍びなくて黙ってマンションを出た私は、少しウキウキしながらそう思っていたのに。
時すでに遅し。
真澄さんの車は駐車場の定位置に停まっていて、出勤したあとだったかとガッガリ。乙葉さんの車に乗り込み肩を落とすと、運転席からクスクス笑う声が聞こえた。
「残念だったわね。愛川先生に会えなくて」
「な、何言ってるんですか!? わたしそんなこと、一言も言って……」
「顔に書いてあるわよ、会いたかったって」
「嘘……」
バックミラーを覗き込み、自分の顔を見てみる。もちろん会いたいなんてどこにも書いてあるはずもなく、騙されてと溜息をつくと車内に笑い声が響いた。
「もう愛川先生のことが好きだって、認めちゃえばいいのに」
「そう簡単にはいきません」
でも心の隅でウズウズしている“好き”という気持ちに気づいてしまい、なんとも複雑な気分。恋に落ちたことのないわたしは、恋に落ちてしまったときの対処法を知らない。
ひとり悶々としていると、そんなわたしを見ていた乙葉さんはふっと苦笑し「行くわよ」と車を走らせた。