【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
黄色の可愛い軽自動車で乙葉さんに連れて行かれたのは、病院から一番近い大型ショッピングモール。一番近いと言っても、車で四十分となかなかの距離である。
その中にあるフードコートで昼食をとり足早に向かったのは、ハイセンスでお洒落な文具や雑貨が揃っているステーショナリーストア。
「新しい年に変わる前だし、これなんかどう?」
そう言って乙葉さんが勧めてきたのは、本側製のシステム手帳。“厳選された最高級の本革を使った贅沢な手帳は上司への贈り物にぴったり”とポップに書かれているように、手帳を持たないわたしでも良いものだと言うことがわかった。
「日本の職人が、ひとつずつ手で丹念に作られたものなんだけど、値段もお手頃じゃない?」
「ホントですね」
わたしでも手の届く値段に頷くと、その横にあるボールペンが目に入った。
「これも合わせたらどうかな?」
「うん、良いんじゃない。愛川先生、喜ぶと思うよ」
乙葉さんの言葉を聞いて、トクンと胸が躍る。ふと頭の中に真澄さんの喜ぶ顔が浮かんで、頬が緩んだ。
「嬉しそうな顔しちゃって、蘭子も可愛いとこあるじゃない」
「な、なんですか、それ」
わたしが可愛いとか、あるわけない。