【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし

でもどうしてか『なんでわたしだけ?』という思いは払拭できなくて、今思えばその行為が気に入らなかったのかもしれない。だからそれが、ずっと頭の中に残っていたんだと思う。

チャラ男は苦手なんていいながら、わたし真澄さんのことを……。

『どうでもいい』『都合もいい』なんてと思っていたのに、ため息が漏れてしまっていたのは、おそらくそういうことだろう。

「だったら、俺の作戦は成功してたってことだな」
「作戦、ですか?」

全く予想もしてなかった言葉が真澄さんから飛び出して、目をパチクリさせる。

一体どんな作戦だというのだろうか。

「蘭子のことをずっと好きだったからな、本当はお前のことだけを蘭子って呼びたかった。でもあの場でそう呼べば、あまりにも露骨だろ。どうして高梨さんのことは蘭子って呼ぶんですか?とか聞かれたくなかったしな」
「は、はあ……」
「それで考えたんだ。じゃあどうすれば、蘭子が俺のことを気にするようになるかって」

そして出した答えが、わたしのことだけを“高梨さん”と呼ぶこと──だったらしい。

思わず心の中で『子供かっ!』とツッコミを入れてしまう。

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