【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし

ここ愛華総合病院で真澄さんの人気は絶大だが、田所先生も負けていない。特に彼は病院関係者、女医や看護師からの人気が厚く、親衛隊もいるとの噂だ。

そんな彼から名前を呼ばれ手なんて振られているところを、その親衛隊の人たちにでも見られたものならば……考えただけで恐ろしい。敵は作りたくない。

体がブルッと震える。

慌てて田所先生に近づき、「しー」っと人差し指を唇の前に立てる。周りに誰もいないのを確認すると、彼に小声で話しかけた。

「田所先生、大きな声で名前呼ばないでください。困ります」
「え、どうして? あ! 俺と話すと真澄に怒られるとか?」

ニヤリと笑って顔を覗き込まれると、途端にボッと顔が火照る。

どうしてここで、真澄さんの名前を出すかなぁ……。

真澄さんと付き合うことにはなったが、まだ公にはしないでほしいと、わたしから真澄さんにお願いした。

病院での“愛川先生”は人気者だ。彼女がわたしだとわかれば、きっと仕事がやりにくくなる。それにわたしが彼女では申し訳ないと言うか……まだ自信がない。真澄さんを想う気持ちは嘘ではないけれど、堂々と彼女だと宣言できるほど、まだ大人になりきっていない。

今日はクリスマスイブだと言うのに、重いため息が漏れる。


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