【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
その夜──。
わたしは今、園枝さんの家のこたつで、丸まっている。
昼休み中にさんざん泣きはらした目は、真赤に腫れ上がった。その顔を見かねた園枝さんは午後からの仕事を裏方に変更してくれた上、仕事終わりに帰りたくないと駄々をこねるわたしを自宅に連れ帰ってくれたのだ。
「ねえ蘭子ちゃん。そろそろ話してくれない、その顔の理由」
久しぶりに大泣きした顔は、いまだ目が腫れたまま。化粧も取れてしまって、見るも無残な情けない状態。だからといって、いつもでも黙り込んでいるのはよくない。
顔を隠していた両手をゆっくり離すと、上目遣いに園枝さんの顔を窺う。
「園枝さん。わたしの初恋、一ヶ月で木っ端微塵に吹っ飛びました」
「え? それ、なんの話?」
怪訝そうに眉をひそめる園枝さんに力なく笑いかけると、ポツポツと事の真相を話しはじめた。