【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし

「そうだったのね。まさか蘭子ちゃんが、“あの”愛川先生と付き合っていたなんて……」

大きなため息をつく園枝さんを見て、申し訳ない気持ちが心の中に広がる。

「以前園枝さん、『愛川先生は女の子には見境ないところがあるから気をつけてよ』って心配してくれていたのに、わたしったら彼の言葉に舞い上がってしまって」
「でも恋ってそういうものだから。別にあなたを咎めようと思ってるんじゃないの。ただもっと早く話してくれていたら、こんな状況にはならなかったと思って」

園枝さんの言っていることがわかりすぎて胸が痛い。止まっていた涙がまたじわりと溜まりだし、泣き顔をさとられまいと下を向く。園枝さんはわたしの隣に移動すると、そっと肩を抱いてくれた。

「愛川先生の婚約の話は、わたしの耳にも入ってきてる。実は院長とわたしは飲み友達で、最近いろいろ相談されてたの。愛川先生には早く結婚して、愛華総合病院を継いでほしいってね。でもまさかこんな早くに、教授の娘さんとの結婚話が持ち上がるとはわたしも思っていなくて」

「そうだったんですか。結婚して病院を継ぐ……」

もうそんなところまで話が進んでいるんだ。ほんとに笑うしかない。もっと早くに気づくべきだった。あんなスゴいマンションに住んでいる時点で、どうして気づかなかったんだろう。


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