【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし

でも今さら何を言っても後の祭り。

何にせよ、真澄さんの結婚はもう決定事項、わたしが入り込む余地なんてどこにもない。

なんか、どうでもよくなってきてしまった。こんなわたしでも、少なからず幸せな時を過ごすことができた。欲を言えば、そんな幸せな時間が永遠に続けばよかったんだけど……。

「愛川先生から、連絡は来てないの?」
「来てますよ。さっきから電話もメールもひっきりなしに。バカですよね、今さら何を話すつもりなのか。わたしは話すことがないから、さっさと電源落としちゃいました」

真澄さんには呆れてしまう。ずっとわたしを騙していて、さぞ楽しかったことだろう。それなのに今さら言い訳でもするつもり?

怒りを通り越して、憎しみまで湧いてくる。声も聞きたくないし、もう顔も見たくない。

「園枝さん。来週からしばらく、有給休暇使って仕事休んでもいいですか? 真澄さんのマンションには戻れないし、アパートもきっと彼が来そうな気がするので、しばらく田舎に帰ろうかと思って」

もう真澄さんのそばにはいられない。愛華総合病院にだって、わたしの居場所はない。

「できれば仕事も辞めたいと思ってます。本来なら数ヶ月前に申し出るのが決まりだと思いますが、事が事だけに園枝さんの力でなんとかならないかと」

< 196 / 258 >

この作品をシェア

pagetop