【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
わたしの中に、こんな自分がいるなんて初めて知った。
どうやら余裕がないのは、わたしも同じみたい……。
久しぶりにふたりだけの時間を過ごせる──それが思った以上に嬉しくて、左腕も上げると真澄さんの首に巻きつけた。
「どうした。珍しく積極的だな」
そういう真澄さんの顔は、なぜか笑っていて。前に『子供を子供扱いして何か悪いことでも?』と言われたことを思い出す。
「また子供だって言いたいんですか?」
こんな時なのに憎まれ口を叩くなんて、やっぱりまだ子供だ。でもだからって、笑うことないのに……。
不服な気持ちが顔に出て、唇を尖らしそっぽを向く。と──。
「恥ずかしがる蘭子も好きだけど、積極的な蘭子はいつも以上に魅力的だ」
わたしの耳元に顔を寄せた真澄さんが、甘言を囁くと耳朶を軽く噛んだ。
「あぁ……」
それだけのことで体が疼き、真澄さんをギュッと抱きしめてしまう。
「……ヤバいな。今日は優しくできないかもしれない」
わたしの首筋に顔を埋めた彼が、耐えられないというように甘いため息をつく。
嘘ばっかり──。
「今までに一回でも、優しくしてくれたことありました?」
わたしが『もう無理』と懇願しても、許してくれなかったくせに……。
お返しだと、真澄さんの脇腹に指を這わせる。その行為にビクッと反応した彼を見て、思わずクスッと笑ってしまう。
やってしまった──と思ったときには、すでに遅くて。
「そうだな。じゃあ今までどおり、抱き尽くす」
顔を上げニヤリをほくそ笑む真澄さんを見て、これでこそ本当の真澄さんだと思うわたしは、もう彼なしでは生きていけないんだと思い知らされる。