【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
しかしそんなわたしの攻撃も真澄さんにはなんの効力もなくて、簡単に取られてしまうと逆にそれを投げつけられてしまう。
「うっぷっ……」
枕が顔面に命中。唸り声を上げると、ベッドに倒れ込んだ。
「真澄さん、ひどい!」
ガバッと起き上がると、ベッドの上から真澄さんを睨みつける。
「ひどいって、枕を先に投げたのは蘭子だろう」
「そ、それは、そうですけど……」
「それにしても蘭子は、怒った顔も可愛いな。わかったよ、出ていけばいいんだろ。早く着替えろ、真面目に約束の時間に遅れるぞ」
真澄さんはわけのわからないことを言うと、わけのわからない笑みをたたえながら寝室から出ていった。
「もう! 勝手なことばかり言って!」
顔面に当たった枕を、ギュッと思いっきり抱きしめる。
『約束の時間に遅れるぞ』なんて、こんな事になってのは誰のせいだと思っているの!
頭の中は怒り心頭で顔はカッカと熱くなるのに、『蘭子は怒った顔も可愛いな』の言葉を思い出すと体はとろんと溶け出してしまう。
「勘弁してよぉ……」
のそりとベッドから下りると、ため息をつきながらウォークインクローゼットへと向かった。