【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし

院長とは何度か挨拶を交わしたことがある。けれども今日は、意味合いがまったく違う。

真澄さんの婚約者──としての訪問とご挨拶。

前もって真澄さんが、一通りの話はしてくれている。院長も奥様も喜んでくれていると、真澄さんは言っていたけれど……。

「緊張してきた」

体をブルッと震わせると、その体を自分で抱きしめた。

大丈夫──。

わたしはもう、ひとりじゃない。隣にはいつも、わたしのことを大切にしてくれる真澄さんがいる。彼が一緒なら、わたしは強くなれる。

「よしっ」とひとつ頷き、ウォークインクローゼットから真新しいオフホワイトのワンピースを取り出す。これは先日真澄さんに見立ててもらった、お気に入りの一着だ。

窓の外には、雲ひとつない空が広がっている。まるで真澄さんの大きな心のようで、スーッと気持ちが落ち着きを取り戻す。

のんびりしている場合じゃない。さっさと支度しなきゃ。

このワンピースを着たわたしを見て、真澄さんがどんな顔をするか──。

はやる気持ちを抑えながら、出かける準備を始めた。



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