【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
寝室は危険がいっぱい
上には上があるものだ──

わたしは愛川先生の部屋の玄関で、呆然と立ち尽くす。

一階のエントランスも二層の吹き抜けだったし、マンションコンシェルジュがいたりで凄かった。エレベーターの中も、ここまで来る共有スペースにも、高そうな絵画や高価な骨董品が飾られていて、何度驚いたことか。

ひっくり返したり壊したりしたら、数億円請求されたりするんだろうか……。

まるでお上りさんのようにキョロキョロと辺りを見渡していると、愛川先生に肩を抱かれた。

「っ!?」

驚き体がびくっと跳ねる。

「入って。どうぞ」

いつの間にか玄関のドアは開けられていた。

「えっ、あ、はい」

もう半径一メートルもへったくれもない。体は密着している。完璧に愛川のペースにハマっているが、ここは致し方ないと我慢。でもそこに男性の部屋に初めて入るという緊張が加わって、どうにもぎくしゃくしてしまう。

「蘭子って男に免疫なさそうだけど、もしかして男と付き合ったことないとか?」
「なっ……」

なんでそんな事がわかるのか、ズバリと言い当てられて言葉がない。

二十四にもなった女がちょっと触れられただけで反応すると、女性慣れした男性ならばすぐにわかってしまう、と言うことなのだろうか。

そんなことないですよと嘘を付くのは簡単だが、こんなことで嘘をついてもどうせすぐにバレるに決まっている。恥ずかしい話だが、こればかりは本当だから仕方ないとコクリと頷いた。



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