【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
「この歳になって恥ずかしいんですけど、男性とお付き合いしたことなくて……って、ん? あれ? 愛川先生、今私のこと蘭子って呼びませんでした?」
付き合ったことない?と聞かれ、そちらばかりが気になって危うくスルーするところだった。
「呼んだけど、ダメなの? せっかく一緒に暮らすんだし、お互い名前で呼びあったほうがいいと思うんだけど」
そのほうが早く仲良くなれるからと言うことらしいが、お世話になるのはたったの一ヶ月。仲良くなれた頃にはここを出ていくというのに、名前で呼び合う必要があるのだろうか。
まあ恋人にでもなれば、話は別だろうけれど。
……恋人……コイビト……そう、恋人!
「愛川先生、彼女は? 付き合ってる人はいないんですか?」
「え?」
奥の部屋に行こうとしていた愛川先生が、不思議そうな顔をして振り向いた。
確か愛川先生は、三十歳くらいだったと記憶している。そんな大人の男なら、付き合ってる女性のひとりやふたり……いや、いくらイケメン医師でもふたりはマズい。マズいけれど、彼女がいたって何の問題もないはずだ。
「良いところがあるって言うからついて来ちゃいましたけど、もしお付き合いしてる人がいたら申し訳ないなと思いまして」
玄関で靴を脱ぐことができず立ったままでいるわたしの頭に、愛川先生の手が乗せられた。