【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
「気になる?」
その声に顔をあげると愛川先生はわたしを見下ろし、ふっと笑ってみせた。病院で見る笑顔とどこか違うものを感じ、不覚にもドキッとしてしまう。
「気になると言うのとは、ちょっと……」
「俺は誠実な男だ。彼女なんていないから安心しろ」
頭に乗っかっていた手がするりと滑り落ち、わたしの体を包み込む。と瞬間的に身の危険を察知したわたしは、彼の体をグッと押し離した。
「これのどこが誠実なんですかっ! ホントに誠実な人は、自分で誠実なんて言わないんです! 彼女がいないのはわかりましたから、離れてください!」
「なんだよ。彼女がいないってわかったなら、減るもんじゃないし抱きしめるくらいいいんじゃないのか?」
愛川先生は不満そうだが、初日からこれでは身が保たない。というか、どうして抱きしめられたのか、そこが全然わからない。
ちょっと気を許すとすぐこれだ。やっぱりチャラ男じゃない……。
ここで暮せば凍死は免れても、愛川先生からの無駄なスキンシップで息絶えそうだ。
わたしはバッグを拾い上げると、大きく肩を落とした。