【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
アパートのときは和室に布団を敷いて寝ていたからか、慣れないベッドに体をもぞもぞと動かす。するとそれに気づいた愛川先生が、声をかけてきた。

「いつまで起きてるつもりだ。眠れないのか?」

眠れないのは愛川先生のせいでしょ!──そう言ってやりたい衝動を抑える。

「すみません、起こしてしまったみたいで」
「いや、まだ寝てない。少し付き合ってやろうか?」
「え?」

何に付き合ってくれると言うのだろう。

ゆっくり体を動かし反転させると、こっちを向いていた愛川先生の妖艶な目と交わり、心臓がドクンと音を立てた。何気に目線を逸らすと、愛川先生は呆れたように笑い出す。

「目が合ったくらいで動揺するな。これから一緒に暮らすんだ、毎回目が合うたびにそれじゃあ疲れるだろ」
「それはそうかも知れませんけど。一緒に暮らすと言っても、たったの一ヶ月です。慣れた頃には……」

ここを出ていく──そう言おうとした口を、愛川先生が伸ばした手がふわりと塞ぐ。

「余計なことはいいから、とにかく慣れろ」

わかったか?という愛川先生にうんうんと頷くと、塞いでいた手が離された。

びっくりした。

突然口を塞がれて驚いたが、嫌な感じは全然しなかった。唇に当たる愛川先生の手は男っぽく骨ばっていたが、優しかったからだろうか。

不思議とさっきまでの震えもパタッと消えさっていて、何故か落ち着いている自分に驚くばかりだ。



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