【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
「ごめん、我慢の限界。蘭子を前にして、歯止めが効かなかった」

愛川先生はわたしの頬に触れ、おでこをコツンと合わせた。これでは愛川先生から目線を逸らせないし体も離れられない。

勝手にキスしておいて、ごめんとか。

勝手にキスしておいて、我慢の限界とか。

挙げ句の果てに、歯止めが効かなかった?

──身勝手にも程がある。

そう思うのに頭の中がぐちゃぐちゃで、反論すらできない。

「もう一回していい?」

愛川先生の腕が私の体に巻き付き、きゅっと抱きしめられた。

「返事がないのはオッケーってこと?」

何を勝手な解釈をしてるの? オッケーも何も、息が詰まって話すことができないっていうのに……。

それでもなんとか息を吸おうと薄く開いた唇を、再び塞がれてしまった。

「んっ……」

さっきの触れるだけのキスとは違う、激しく深いキスに、頭の中心が痺れる。愛川先生の大きな手で体をゆっくり撫でられると、体中がとろけて腰が砕けそうになってしまった。

いや、もう立ってられない──

足に力が入らなくなって自分から愛川先生にギュッとしがみつくと、重なっていた唇が離れ、愛川先生の甘く濡れた瞳と交わる。

と同時に、パスタが茹で上がったことを知らせるタイマーがピピピッと鳴った。



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