【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
「そう、ですけど」
「けど、何?」
「ファーストキスだとわかってて、なんでキスしたんですか?」

そうよ、女の子にとって大事なファーストキス。それをなんで、好きでもない愛川先生に奪われなきゃいけないの。

恋をしたことはないけれど、恋がどんなものなのかよくわかってないけど、わたしにだって夢や憧れはある。二十四歳まで経験がなかったけれど、経験がなかったからこそ、もっとロマンチックなところで大好きな人とファーストキスしたかった……。

こんなわけのわからないうちにキスされて喜ぶほど、わたしはバカじゃない!

ふつふつと怒りが湧き上がり、その場にすっくと立ち上がった。

「最初からそのつもりで、私をここへ連れてきたんですか? だとしたら愛川先生は最低な人です!」

やっぱりチャラ男だったんだ。いや違う、チャラ男の風上にも置けない。普通のチャラ男に申し訳ない……って、普通のチャラ男とか意味わかんないし!

とにかく、最低最悪、下衆の極み! といいたいわけで。

「男の人に免疫のない女だからって、何してもいいって思ったら大間違いなんだからっ!!」

愛川先生が医者だろうが年上だろうが、もうそんなこと関係ない。悔しくて悲しくて惨めで、これでもかというくらい大声で叫んだ。



< 45 / 258 >

この作品をシェア

pagetop