【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
「真澄さん、お腹空きません? 何か食べて、少しでも元気出しましょ」
腹が減っては戦は出来ぬ──じゃないけれど。嫌なことがあった時、辛いことがあった時、病気の時、どんなときでも食べることで少しでも元気が出れば、生きていく糧になる。
真澄さんと一緒に立ち上がり困ったような顔をする彼に笑顔を見せると、キッチンへ行くためにクルッと回れ右をした。
あ、でも。さっき冷蔵庫の中を見たら、大したものは残っていなかったような。だったら買い物に連れて行ってもらうべき?
もう一度クルッと回り、真澄さんを見上げた。
「あの……」
「何か作ろうと思ってるだろ。でも今日はいい。もうこんな時間だし、外食で済まそう」
「でも真澄さん、外食は苦手って」
だから自炊派だと言っていた。だったらまだスーパーも開いてるし、簡単なものでも作った方がいいだろうと思ったのに。
真澄さんは当たり前のようにわたしの手を取ると、玄関へと歩き出した。
「確かに外食は苦手だ。でも相手によっては別だ」
それは暗に、わたしとなら行ってもいいと言っているのだろうか。
前を向いていて、その表情は窺えない。真澄さんの意図がわからないが、そうだとしたらちょっと嬉しいかも。
ふと湧いた感情に戸惑いながらも前を歩く真澄さんの背中を見ると、胸躍るわたしがいた。