【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
「なあ蘭子」
真澄さんの呼びかけに、下げていた目線を上げる。
「じゃあ私は特別じゃないの?とか勘違いするなよ。蘭子は俺にとって、間違いなく特別な女だ」
どうやら私の心は、読まれていたらしい。真澄さんは淡々とそう言うと、ニヤリと笑ってみせた。
「べ、べつに、勘違いなんかしてないし……」
心を読まれたことへの恥ずかしさと、特別な女と言われた嬉しさ。ふたつの異なった気持ちが胸の中でぶつかって、なんだか複雑な気分。
目の前に座っている真澄さんはまだ笑っていて、随分と楽しそうだ。
もしかして、からかわれてる?
今思えば、いつもそう。真澄さんの言動に一喜一憂して、振り回されっぱなし。なんだか悔しくなってきて、思わず溜息が漏れた。
「どうした?」
真澄さんは、変わらず高姿勢だ。
「わたしのこと、からかってます?」
「いや、からかってない」
「じゃあ、子供扱いですか?」
イタタタた。わかっていたことだけど、自分で言って胸が痛い。
真澄さんは頬杖をつき呆れたように息を吐く。そして私の顔をまじまじと見つめた。
「ああ、子供を子供扱いして何か悪いことでも?」
まさかそんなハッキリ“子供”と言われるなんて思っていなかったから、ぽかんと口を開け呆然としてしまう。