【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
その間も目の前のふたりは何事もなく会話を続け、しばらくすると田所先生が注文したアジフライ定食が運ばれてきた。
「真司。お前はいつもアジフライ定食だな」
「そういうお前も、生姜焼きじゃないか」
同期で親友。ふたりの関係は以前から知っていたが、ここまで仲が良かったとは。
箸を持ったままボーッと見ていると、その視線に気づいた真澄さんがわたしの空いている方の手を取った。
「蘭子、食べないのか?」
ハッと我に返ったわたしは大きく首を横に振ると、持っていた箸を下ろした。
「食べる食べないじゃなくて、この状況が上手く飲み込めなくて。真澄さん、いいんですか?」
「何が?」
「わたしと一緒にいるところを、田所先生に見られても」
田所先生は良い人だ。それはわかっているけれど……。
「別に構わないけど。というか、真司をここに呼んだのは俺だ」
「俺……」
そう言えば真澄さんは、田所先生が来たとき「遅かったな」と言っていた。それは来ることがわかっていた人の言葉だ。
ということは……。
「田所先生は、わたしが愛川先生のところで暮らしているのを知ってるってことですか?」
「当たり前だ」
真澄さんは偉そうにそう言うと、湯呑のお茶を飲み干す。
「高梨さんも物好きだね、真澄と同棲するなんて」