【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
「ごちそうさまでした」
定食屋を出て真澄さんに礼を言っていると、自分の愛車にもたれてこっちを見ている田所先生と目が合う。彼はゆっくり手を上げ、おいでおいでをしてわたしを呼んだ。
「高梨さん、ちょっと」
なんだろうと思いつつ田所先生の傍まで行くと、彼はわたしの耳元に顔を寄せた。
『あいつ、いろいろと大変な身の上でところどころ難ありだけど、本当に良いやつだから。俺が保証する、安心して』
じゃあと手を振り車に乗り込んだ田所先生を見送ると、真澄さんのところへ駆け寄った。
「真司に何言われた?」
「今度また一緒に食事しようって」
嘘をついてしまった。
「ふたりで行くなよ」
「さあ、どうでしょう」
したり顔でそう言ってやると、真澄さんに思いっきり両手で顔を挟まれた。
「なんだと? もういっぺん言ってみろ」
「うぐっ、うぐぐ……」
もういっぺん言ってみろって言うから、言ってやろうと思ったのに。顔を両手で挟まれていたら、なんにも話せないじゃない!
なんとか手を離させようと顔を振ったが、今まで以上に強い力で顔をホールドされ、あろうことか駐車場でキスされてしまう。
「……んっ」
それはすぐに深さを増し、きつく吸い上げられる。
あ、真澄さんから生姜焼きの香ばしい匂いが……。
って、おいっ! 生姜焼きの香りに惑わされている場合じゃない!
ぐっと足を踏ん張って、力任せに真澄さんを押し退ける。と、不服そうな顔をした彼の目とぶつかった。