【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
素直になるのは難しい
二日後の、月曜日の朝。
「ふわぁぁぁ~」
出勤してから何度目かのあくびをすると、乙葉さんがわたしの肩を叩いた。
「蘭子、寝不足? あんたにしては珍しいね。何かあった?」
乙葉さんがそう言うのも無理はない。
趣味もない、彼氏もいない、特に仲のいい友達もいない。無い無い尽くしのわたしは、仕事が終わればまっすぐアパートに帰り、掃除洗濯食事を済ませ、お風呂の入ったら即布団に潜り込んで寝る。寝不足とは無縁の生活をしていたわけで。それを知っている乙葉さんにしてみれば、どうしてと首をひねるのも納得だ。
「すみません。ちょっと寝床を変えたら、寝付きが悪くなっちゃって」
嘘じゃない。好きで変えたわけじゃないが、布団からベッド、もれなく真澄さん付き。
まだ一緒に暮らして三日目では慣れなくて、未だ寝不足状態だ。
このことを誰かに話せば、少しは楽になるのかもしれないけれど、真澄さんとのことは誰にも話す訳にはいかない。特に乙葉さんには絶対に話せない。話せばどんな目に合うのか……。
想像しただけで怖い。