【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
そして怖いのは、もうひとつ。
今朝だって、ホントにもう大変で。
真澄さんのマンションは愛佳総合病院とわたしのアパートがある町の隣町にあって、自転車で通うのは無理だがバス一本で行くことができる。だからわたしは、ひとり始発のバスに乗って通勤しようと思っていた。
それなのに真澄さんは、「同じところに行くのに、どうして車に乗っていかない。俺は蘭子と一緒に行きたいんだ」の一点張り。何を言ったって聞く耳を持たず、のらりくらりと躱され、根負けしたわたしは、真澄さんの車に乗って出勤する羽目になってしまった。
「病院の手前、誰も人がいないところで降ろしてください」
「どうして?」
「どうしてって真澄さん。そんなの病院の誰かに見られでもしたら、困るじゃないですか」
「困るのか?」
「困ります! 真澄さん、自分がどれだけ人気者なのかわかってないんですか?」
「朝からキャーキャー言われてるな」
こんなやり取りを数分間。やっとの事で降ろしてもらい、今に至っている。