【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
「愛川先生って彼女とかいないの?」
「いないみたいですよ。自分で自分のことを誠実だなんて言ってたし。あ、それに、愛川先生、私のことが好きだって……」
思わず、口が滑ってしまった。
「誰が誰のことを好きだって?」
乙葉さんの目が大きく見開き、その表情がみるみるうちに変わっていく。
「い、いえ! えっと……」
「何どぎまぎしてるのよ。良かったじゃない」
何が良いのか、さっぱりわからない。
「でも乙葉さん、愛川先生のこと好きなんじゃ……」
上目遣いにこそっと乙葉さんの顔を見ると、いつの間にか穏やかに笑っている。
「確かに愛川先生はイケメンだし目の保養にはなるけど、わたしの好きなタイプじゃないなぁ。それにわたし、彼氏いるし」
「あ……」
そうだった。乙葉さんには十歳年上の、素敵な彼がいるんだった。
乙葉さんに全部話したら、肩の荷が下りたと言うか、ちょっと気持ちが楽になる。こんなことならすぐにでも、メールか電話で話すんだった。
と、ひとり苦笑すると、それを見た乙葉さんが「ふ~ん」と、ことありげに鼻を鳴らした。
「で蘭子、あんたは?」
「ん?」
焼きそばを頬張ったまま、顔を上げる。