【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
「あんたは愛川先生のこと、どう思ってるのよ?」
「んぐっ!?」
ニヤリとした目を向けられ、焼きそばを吹き出しそうになる。
「どう思ってるって。わたしは愛川先生のことが苦手って……」
「それは以前の話でしょ。今のあんた見てると、愛川先生のことが気になるって顔に出てるけど?」
「え? 嘘……」
「動揺しちゃって。もうキスされたとか?」
「もう~、ヤダッ!」
慌てて顔を隠すが、それこそ後の祭り。
「ビンゴか。恋も知らない純情な蘭子にキスするなんて、さすが愛川先生だねぇ~」
「ほんと嫌。ファーストキスだったのに……」
ぼそっと呟くと、乙葉さんに大笑いされてしまった。
「なんで笑うんですか?」
顔を覆っている指の隙間から恨めしい目で見れば、呆れたような乙葉さんの目と合う。
「言うほど、嫌そうに見えないんですけどぉ」
「な、なに言ってるんですか! ファーストキスですよ? なんでそれを真澄さんに」
「真澄さんって呼んでるんだ」
「あ……」
乙葉さんの前だと、どうも調子が狂う。
さっきまで気にしていたから“愛川先生”と言えたのに、気が緩むとすぐこれだ。慣れというのは恐ろしい。