終わりは始まりか ~私達の場合~
「いや…、お前がこの町に居る間はずっとお前を見て来たんだ。」

「そうね、伊吹はいつもそばに居てくれたね、ありがとう。」

私は今更ながら、伊吹に頭を下げる。

どんな時も横を向くと居てくれたのは、確かに伊吹だった。

特にこの2年間で、私は変わったと思う。

その変化も伊吹は感じているのだろう。

「おばさんがお前の妊娠が分かった時のあの嬉しそうな笑顔。あれは本当に忘れられない。そして妊娠中から出産、育児までおばさんは一番大変だった時期のお前をしっかり支えて、そしてそれに満足したかのように穏やかに亡くなった。俺はその様子をずっと見て来て、そして決めたんだ。」

伊吹が優しい表情を私に向けた。

「これからその役目を俺が引き継ぐんだって。だから…。」

私はあっという間に、伊吹に包まれる。

「結婚しよう。陽輝もちゃんと引き受けるから。」

いつも言われ慣れている言葉のはずだった。

でも今は…。

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