終わりは始まりか ~私達の場合~
「さあ、伊吹は何を探しに来たの?」

私は自然な態度を装う。

「ああ…。」

伊吹は倉庫の中をきょろきょろと見回す。

私の想定外の返事に少し戸惑っているようにも見える。

「おう、これをもらっていく。」

伊吹ははめ込み式の小さな飾り棚を掲げた。

「了解。じゃあ、戻るわよ。」

もしかしたら用もないのに、伊吹は私を倉庫に連れて来たのかと勘ぐってしまった。

ちょっと、悪かったな。

ごめんね、伊吹。

「美月、俺はずっとそばに居る。だから何かあった時は必ず俺に相談しろ。」

そんな風に言葉にしてくれる伊吹に感謝だ。

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