終わりは始まりか ~私達の場合~
「陽輝はご機嫌そうじゃないか。」

横から陽輝の顔を覗く伊吹。

その伊吹の顔に反応する陽輝は顔を歪ませる。

「じゃあ、俺は現場に行くよ。」

そんな陽輝の様子を見て、伊吹が先に歩き出した。

伊吹はチラリと麻生くんを見ると、何か言いたげだったが、すっと顔を逸らした。

「さっ、私達も事務所に戻ろうか。」

私は陽輝の顔を見てから、麻生くんに視線を移した。

「伊吹さんと何を話していたんですか?」

伊吹の気配が消えた事を確認してから、麻生くんはボソッとつぶやく。

「どうして?」

「何となく。」

麻生くんはバツが悪そうに、ぷいと顔を逸らした。

私はそんな様子の麻生くんに笑みが漏れる。

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