終わりは始まりか ~私達の場合~
麻生くんはニッコリと…、素敵な笑顔を私に向ける。

「自分ですべてを抱え込んでしまって…、でも周りに気を配る事は決して忘れない。会社に居る時と同じだ。」

麻生くんの言葉に胸をぐっと掴まれたように感じる。

そんな風に夜を過ごした翌朝。

麻生くんの布団はきれいに畳まれていた。

朝早くに誰にも気づかれないように、帰ってしまったようだ。

キッチンには簡単な朝食が並べられていた。

そのご飯を食べながら、お父さんが言った。

「このままずっと麻生くんはここに居てくれるんじゃないかと、勝手に思っていたよ。」

「麻生くんにも麻生くんの都合があるわよ。」

私はそんなお父さんの気持ちがすごく分かった。

昨晩麻生くんは私にあんな事を言ったけれど、麻生くんは気を遣った素振りを見せずに、上手なコミュニケーションを取る。

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