終わりは始まりか ~私達の場合~
仕事上のことなら、あの伊吹とも対等にやり合っていた。

当然お施主さんにも評判が良かった。

きっと同世代の女性にもモテる事だろう。

そんな事をふっと考えた私は少しおかしいようだ。

「また大変な時だけでも仕事を手伝いに来てくれると良いんだな。」

私はそんなお父さんに笑いかけた。

「こちらの都合の良い事ばかり言っていちゃだめよ。私達がお母さんの分も頑張らなくちゃね。」

そしてただ一人、いつもと変わらない様子の陽輝は朝から食欲旺盛だ。

幼心にもう少し麻生くんが居ない事に戸惑うのではないかと思っていたのだけれど…。

「おはよう。」

そこに入って来たのは伊吹だった。

「少し早く来過ぎてしまったか。」

私達の朝食の様子を見て、伊吹は苦笑いをする。

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