終わりは始まりか ~私達の場合~
「おはよう、伊吹。新しい現場の図面が欲しいんだったよね。わざわざ寄ってくれたの?今日、今の現場に持っていこうと思っていたんだけど。」

私はそんな事を言いながら立ち上がった。

「あれ?あいつは?」

伊吹は麻生くんが居ない事にすぐに気が付いたようだ。

「麻生くんは帰ったぞ。」

そこに口を出したのはお父さん。

「そうか。」

伊吹は意外そうな顔をする。

そして陽輝の様子に気が付くと、優しくゆっくりと手を出した。

「陽輝、お口が汚いぞ。一回拭いてやる。」

そんな伊吹に陽輝がにっこりとご機嫌な笑顔を向けた。

陽輝のそんな様子に、伊吹は驚いた表情を見せた後、何とも言えない微笑みを見せた。

「いつの間に陽輝と仲良くなったの?」

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