終わりは始まりか ～私達の場合～

私はその事に戸惑うばかりだ。

「俺はあまりにも美月達の近くに居すぎた為に、見えなかった事がたくさんあるのかもしれないな。そばに居る事で安心しきっていた。」

伊吹がそんな事を言うなんて、ちょっと意外だ。

「今の美月にはもう少し時間が必要なのかもしれないけど…。」

伊吹は私をチラリと見てから、お父さんと視線をしっかりと合わせた。

「親父さん、美月と陽輝の面倒は俺がちゃんと見ていくから安心してくれ。」

何だか話が違う方向へ逸れているような気がする。

「伊吹、それは…。」

私が慌てて言いかけると、伊吹は少しすごみのある表情を私に見せた。

「もちろん、お前のOKが出るまで、いつまでも待つぞ。それに…。」

伊吹が今度は陽輝を見た。

「どんな形であれ、お前たちの一番そばに居るのはやっぱり俺なんだ。」

私は伊吹に気が付かれないように、そっと溜息をついた。