終わりは始まりか ~私達の場合~
「俺にはそんな能力がないとでも言いたいんですか?」

わざと私の反対を押し込めようとしているのが分かる。

「でも、麻生くんのプライベートが無くなってしまうわ。」

私は別の所から攻めてみる。

「それは美月さんも同じでしょう。家事や育児もしている美月さんに比べたら、そんなことは大したことではないでしょう。」

私は何も言えなくなってしまった。

「麻生くん、どうして…?」

そして私はいつの間にか情けない声を出していた。

「これは誰の為でもありません。俺がそうしたいからです。」

陽輝が麻生くんの足元にすがりつく。

陽輝の見上げた顔にゆっくりと微笑んだ麻生くんは、陽輝を大事そうに抱き上げた。

もう小さい子の扱いにすっかり慣れたその様子は私を安心させる。

「陽輝くんの顔を見る事は俺にも励みになるんです。」

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