終わりは始まりか ~私達の場合~
私はその表情に、妙にドキリとする。

「俺がこんな時間についたから、陽輝くんの寝る邪魔をしちゃいましたね。」

私は陽輝を抱き上げ、お父さんの方を向いた。

「陽輝を寝かせて来るね。」

何だかまともに麻生くんと目を合わせづらい。

私は慌てて陽輝を抱いて、二階へ上がる。

陽輝に添い寝をしながら考える。

もう私自身、どうしたらいいのか分からない。

もう会えないだろうと感じていた時に、何もなかったような顔をして現れた麻生くん。

私は麻生くんの存在に間違いなく振り回されている。

でも戻って来てくれた事が、素直に嬉しい。

そんな混乱の中、私は陽輝と共に眠りに落ちていたらしい。

人間というものは、あまりにも混乱すると思考をストップしてしまうものなのだろうか。

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