終わりは始まりか ~私達の場合~
それはきっと現実逃避なんだろう。

実家に帰ろうと決めて、あの送別会から始まった私達。

そう、最後だと思っていたあの時が実は始まりだったなんて、誰も思いもしなかっただろう。

あの時確か…。

私はうつろな状態の夢の中で、麻生くんの一言を思い出す。

-初めての約束ぐらい守ったらどうですか?-

麻生くんはそう言った。

違う、誰も思わなかったかもしれない事を麻生くんは感じていたんだ。

私はそこで目を大きく見開いた。

陽輝を真ん中にして、その向こうで眠っている麻生くんに気が付いた。

私はゆっくりと身体を持ち上げた。

その気配で麻生くんは目を覚ましたようだ。

「ん…?何かありましたか?…美月さん?」

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