終わりは始まりか ~私達の場合~
少し寝ぼけたような様子の麻生くんも半身を起こす。

「麻生くん…、私はどうしたらいいの…?」

反射的に零れ落ちる言葉を私は止めることが出来なかった。

暗闇でも麻生くんがにっこり笑った気配が分かった。

「そのままで。美月さんはそのままで良いんです。」

「でも…。」

麻生くんは立ち上がると、私の方へやって来た。

そして座り込むと私を優しく抱きしめた。

「美月さんが俺を必要とするまで…、俺の思いに美月さんが追い付くまで待っていますから。だから…。」

私の手が麻生くんの背中に回る。

「こうやって触れる事は許して下さい。…そう、俺のする事を拒否しないで下さい。」

「でも…。」

「それで良いんです。会社で見つめるだけの時に比べたら,こんなにそばに居られるなんて夢のようです。今だって…。」

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