終わりは始まりか ~私達の場合~
麻生くんは私の額に自分の額を寄せる。

「…佐藤さんとの事…、聞いていいですか?」

「そこまで知っているの?」

私は今更ながら苦笑いをする。

「ずっと見ていたんですよ、美月さんの事。」

麻生くんが私を知っている時間は、私のそれよりもやはり長いようだ。

「尊敬していた設計の先輩だった。」

うなずきながら、麻生くんは静かに聞いている。

「確かに私が新人の時から、一緒に仕事をする事が多かった。だからよく仕事の事を相談したわ。特に麻生くんがアシスタントについたあの現場の後は、一緒に乗り越えた同志みたいなつながりを感じたわ。」

麻生くんが私の肩に手を置く。

私は思い出しながら微笑む。

「だから会社を辞める時に、一番に報告しただけ。」

私が遠い目をした事に、麻生くんは気が付いたようだ。

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