終わりは始まりか ~私達の場合~
私は片づけをしてくれている男性陣のいるキッチンへ戻って来た。

「あんなに興奮していた陽輝を見たのは初めてかもしれないな。」

伊吹もその様子を思い出しながら、とても穏やかな顔をしている。

そんな伊吹の言葉に、みんなが微笑む。

「申し訳ないが、俺はもう寝る。」

いつの間にかお風呂を済ませていたお父さんも寝室へ引き上げて行った。

「これでもう終わりですかね。」

洗い物をしてくれていた麻生くんが水を止めてこちらを向いた。

「ありがとう。」

伊吹が拭いてくれた食器類を片付けながら、私は言った。

「陽輝にとって、忘れられない日になると良いな。」

伊吹が麻生くんと私の顔を交互に見ながら笑う。

「さっ、コーヒーでも淹れるわ。」

私は二人にテーブルに座るように促す。

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