終わりは始まりか ~私達の場合~
おかげで私は会社内の評価もかなり上がったので、その後の仕事がやりやすくなった。

いろんな意味で私に刺激を与え、その後の仕事にも影響を及ぼした現場だった。

「俺もあんな現場をやってみたいですね。」

麻生くんのそんな笑顔がまぶしい。

でも…。

「それなら独立した方が良いわね。この会社じゃ、ああいう現場は珍しいから。」

「それで物足りなくて、宮園さんは実家に帰られるんですか?」

麻生くんの何気ない質問に、内心どきりとする。

「実家は田舎だから、ますますそんな機会は失ってしまうかもね。」

私は苦笑いしながら、自分用に用意されたグラスに口をつけた。

やっぱり美味しい。

「でも会社のしがらみのない仕事が出来るんでしょう?」

なかなか鋭い所を突いてくる麻生くんの顔を私はまじまじと見た。

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