終わりは始まりか ~私達の場合~
私はスッと肩の力が抜けたような気がした。

「何となくですけど、俺達は相性が良いんじゃないかと思っていたんですよ。」

麻生くんの左肩が私の右肩に触れる。

「一緒に仕事をしてみたかったわね。」

「俺はその為に仕事を頑張っていたんですけどね。」

「調子の良い事を言うじゃないの。」

二人でこんな事を話していると、何故かお酒の方も進んでいく。

「ああ…、でも実家に帰るという選択が正しいのか、よく分からないのよね。」

私は段々愚痴を麻生くんに聞かせるようになっていた。

「でも自分で決めた事なんでしょう?」

麻生くんはグラスを片手に聞く。

麻生くんは私より飲んでいるようだが、その様子は全く変わらない。

「母の体調が良くなくてね。今度ちゃんと病院で説明を直に聞こうと思っているんだけれど、父が話すよりももっと状態は悪いと思う。」

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