終わりは始まりか ～私達の場合～

私はクスクス笑いながら話した。

「自由にいろんな空間をお施主さんと作り出していくんです。会社の規格で出来なかった事が、ここでは自分と職人さん達の技量で何とかなる時がある。そういう意味では、まだまだ私なんて勉強中の身です。」

「そういう事か…。」

佐藤さんはまたポツリと答えた。

「麻生もそういう魅力を感じているのかもしれないな。」

私はそこで話題を変える。

「佐藤さんはお仕事の方はどうですか？」

「相変わらずの仕事をしているよ。もうめんどくさい現場は麻生に回しているしな。」

私は声を上げて笑う。

「宮園が入社してすぐに仕事で組んだ時は楽しかったな。」

私より3つほど先輩の佐藤さんと私は一緒に成長してきたみたいなものだった。

「二人でオロオロしながら仕事をしていましたよね。」