終わりは始まりか ~私達の場合~
グラスを置いた私の手が止まる。

それは今まさに私が一番欲しかった言葉かもしれない。

「美月さん?」

私はグラスを見つめたまま、動くことが出来ない。

少しでも動いたら…、きっと涙が出てしまう。

私は自分の話を聞いてくれる人を望んでいたんだ。

ふっとそんな思いが胸を熱くする。

「美月さん?」

ああ…、ダメだ。

自分の意に反して、震えてしまう私の身体。

すると私の左肩に麻生くんの左手が触れる。

ぐっと抱き寄せられ、私の頭は麻生くんの右肩に触れる。

すると麻生くんは私の頭をぐっと自分の方へ引き寄せた。

「我慢は良くありませんよ。」

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