終わりは始まりか ~私達の場合~
「耀太は血のつながった父親かもしれないが、俺は生まれた時からそばに居る育ての父親なんだからな。陽輝の事は任せておけ。」

「伊吹…。」

愛にあふれているのは伊吹の方だ。

「自分の本当の気持ちは周りの人間がどんなに変えようとしたって無理なのかもしれない。もしかすると自分でも湧き上がってくる思いはどうにも出来ないのかもしれないな。」

伊吹は私達を見る。

「伊吹さん、ありがとうございます。」

ぺこりと麻生くんが頭を下げた。

「ぶー、ぶー。」

陽輝が伊吹を見て微笑む。

「ちょっとやきもちを妬きそうです、伊吹さんに。」

少し頬を膨らませた麻生くんは拗ねているようだ。

「耀太にはこれから陽輝と過ごすたくさんの時間があるじゃないか。まずはその強情な女の気持ちをほぐすところからだな。」

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