終わりは始まりか ~私達の場合~
「そうですね…、手こずりそうですが…。」

伊吹と麻生くんが大きな声で笑う。

それに声を合わせるように、陽輝も声を出して笑った。

「ん?私の事?」

「他に誰が居るんですか。さっ、伊吹さんの厚意に甘えましょう。」

麻生くんは伊吹に合図を送ると、私を促して歩き出した。

「陽輝、お前のおじいちゃんとおばあちゃんがお父さんを連れて来てくれたぞ。」

伊吹は私達二人が去った後、陽輝を愛おしそうに抱き上げた。

「俺はお前たち家族のそばにずっといるぞ。」

そして陽輝にほおずりをする。

「俺はやっぱり陽輝の育ての父親だ。」

陽輝が伊吹の顔をきゃっきゃっと手で触る。

「ちょっとこの状況に慣れるのに、時間はかかるかもしれないけどな。お前の母親は俺の一番だからな。」

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